実際、多くの企業は費用がかさむレガシーアプリケーションに依存する状態から長年にわたり抜け出すことができず、技術的負債という形で大きな負担を抱え続けてきました。最近の調査では、その影響が数字として明確に示されています。グローバル企業は平均して、技術的負債によって年間3億7,000万ドル(約584億円 ※1ドル=158円換算)以上を無駄にしているとされています。これほどの負担を抱えているにもかかわらず、モダナイゼーションの多くは思うような成果を上げられていません。数年を費やし、多額の投資を行った結果、期待外れに終わる、あるいは途中で断念されるケースも珍しくありません。
その背景には、レガシーシステムのモダナイゼーション自体が極めて難しいという現実があります。多くのレガシーシステムには十分なドキュメントが残っておらず、数百万行のコードと最小限の情報だけが引き継がれています。ビジネスロジックはユーザーインターフェースやデータ構造と密接に絡み合っており、人手による大規模な分析なしには、アプリケーションが実際に何を行っているのかを把握することは困難です。データスキーマも複雑で、多くの場合それぞれ独自の形式による制約を受け、品質的な課題を抱えていることが少なくありません。その結果、現状把握のための資料作りや関係者調整だけで数か月が過ぎ、新しい価値を生み出す議論にすら進めていない企業も多く存在しています。
Accentureの最新Digital Coreレポートも、技術的負債が深刻かつ拡大し続けている経営課題であることを示しています。米国だけでも、技術的負債による年間コストは2兆4,100億ドル(約380兆7,800億円)、解消には1兆5,200億ドル(約240兆1,600億円)が必要と試算されています(※1ドル=158円換算)。大手企業は、IT予算の平均15%を技術負債の修復に割り当てており、負債の削減と将来の投資のバランスを取る「スイートスポット」となっています。特に、技術的負債が平均より少ない企業は、同業他社よりも収益成長率が高く、今後3年間のパフォーマンス改善が期待されています(2024~2026年は、5.3%対4.4%)。
「Accentureでは、レガシーモダナイゼーションを単なる技術的な刷新ではなく、俊敏性やイノベーションを高め、顧客にとっての長期的な価値を引き出すための経営レベルの取り組みだと捉えています。Accentureの豊富な業界専門知識、AWSのTransform、PegaのAIを活用したそれぞれの強みを組み合わせることで、レガシーシステムから最新のクラウドネイティブプラットフォームへの転換をスピーディに実現させます」
三社の力:レガシーモダナイゼーションのためのBlueprint
こうした課題を解決するため、AccentureとAWSはPegaと提携し、三社それぞれの強みを統合したAI主導のレガシーモダナイゼーション・アプローチを打ち出しました。
この取り組みは、複雑化したレガシーアプリケーションを分解・可視化することから始まります。Accenture GenWizard™がJavaや.NETなど30以上の言語を対象にAI分析を行い、AWS TransformがIBMメインフレーム特有の複雑さに対応した分析を加えます。その分析結果はPega Blueprint™に取り込まれ、コードだけでなくプロセスマップやデータ構造といった情報をもとに、業務部門とIT部門が協調しながら将来のあるべき業務プロセスを設計できるようになります。
完成したBlueprintは、AWS上で稼働するPega Infinityプラットフォームに迅速に実装され、MVP(Minimum Viable Product)としてすぐに検証を開始することが可能です。AWSのネイティブ統合により、Amazon RDSやRedshiftといった最新のデータ基盤への移行も容易になります。AWS Marketplaceでも提供されているこのエンドツーエンドのソリューションにより、企業は数年ではなく数週間という短期間でレガシー変革を進め、価値創出までの時間を大きく短縮できます。
今までの通説を超える:現場で実証済みの成果
この三社間の技術的な連携による成果は、実際のプロジェクトで効果が確認されています。この手法を適用する為に最近、ワークショップに参加した企業は、目覚ましい成果を上げ、このモダナイゼーションのアプローチのスピードと効率を実感されています。
あるプロジェクトの要件定義フェーズでは、Accenture GenWizard™がベースライン分析の75%を自動的に生成し、専門家は残りの25%に集中することで、従来は数か月かかっていたレガシー理解を数日で完了できました。
このスピード感は設計フェーズでも維持され、チームはBlueprintをゼロから始めるのではなく、共同のワークショップや専門分野のエキスパートの意見を参考にしながら、モダナイゼーション後の業務やデータのあるべき姿を高解像度に描き出すBlueprintを活用しながら非常に短期間でモダナイゼーションを進めることができました。このような複数の関係者による共創的なコラボレーションは非常に重要で、結果を左右するものでした。関係者の多くは、現状分析から将来のプロトタイプ構築まで、数週間で進められたことに大きな成果を感じられています。
これらの成果は、明確なビジネスインパクトにつながります。複数の企業が、自社のサービスや商品の市場投入を早期に実現でき、このアプローチによって価値提供や販売機会の早期化が実現されたと報告しています。この統合されたアプローチにより、企業はPega Blueprint™により現行システムの可視化から将来のあるべき業務プロセスやアプリケーションの設計ができるようになり、Pega Platformでの実際の開発したものを、AWSで展開し、短期間での本番稼働を実現することができます。
改善の先を見据えて:未来に備えたアーキテクチャ構築
このパートナーシップの真価は、単なる既存システムの改善にとどまらず、AI主導の未来に向けた基盤を整える点にあります。レガシーシステムは、データを制限し、自動化を妨げ、顧客が期待するパーソナライズを実現しにくくすることで、AI活用の大きな障壁となってきました。Pega Infinityのようなローコードで拡張性の高いプラットフォームへ移行することで、
業務プロセス全体にAIと自動化を組み込むための土台が整い、最終的には各業務が自律的に完結するオペレーションと、顧客一人ひとりに最適化された深いレベルの顧客体験を同時に実現できるようになります。これは、現代の市場環境において競争力を維持し、勝ち続けるために不可欠な要素です。
数年かかる作業を数週間に:モダナイゼーションのリスクを低減
AI主導のアプローチにより、モダナイゼーションはもはや数年単位の不確実な賭けではありません。今までの様なアプローチで複数年かけるのではなく、最短90日で部分的なスモールスタートとした本番稼働が可能となります。
何よりも上手くいくかわからない不確実な状況から、より具体的かつ実践的なモダナイゼーションのアプローチに切り替えることができます。このようなアプローチで企業はレガシーコードの分析や新しいアプリケーションのプロトタイプの作成を数週間で完成させることができ、長期投資を決断する前に、将来像を具体的に確認したうえで意思決定ができるようになります。
全社規模のビジネス変革の新しいモデル
「多くの企業にとって最大の課題は、おそらくモダナイゼーションを目指す際に、どこから始めたら良いのか分からないことです。今回のコラボレーションでは、プロセスをシンプルにすることで、導入期間を短縮し、顧客満足度の改善を目指します」
Accenture、Pega、AWSのパートナーシップは、単なる段階的な改善ではなく、可能性を再定義するものです。技術的負債を抱え、AI時代に向けたモダナイゼーションが急務となっている企業にとって、この3社の提携は、単なる足し算に留まらない大きな成果を、数年規模ではなく短期間で達成できる確実な道筋を示しています。