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Francis Carden
フランシス・カーデン(Francis Carden)
インテリジェントオートメーションおよびロボティクス担当副社長
Pegasystems

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IT部門が未来をつかむための秘策:シチズンデベロッパー

ローコードプラットフォームにより、企業・組織はかつてないほどパワフルになっています。

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レゴブロックにたとえるとしたら、お城を作るというときに、一つひとつのブロックをゼロから設計し、成形し、試験しなければならなかったとしたらどうでしょうか。 これまで何十年もの間、プログラミングはそのような工程で行われていたのです。何週間も何か月もかけて、一行一行のコードを書いてアプリケーションを開発するという骨の折れる作業を行っていました。 プログラマー全員が完璧なコードを書いていたら大変なことになっていたでしょうが、彼らは人間ですから、当然そうはなりませんでした。 修正やパッチの開発にも時間がかかったり、振り出しに戻ったりしていたでしょう。

2021年にして、我々はすべてそろった新品のレゴブロックを手にしました。 何でも好きなものを作り、ただちに再利用したり、組み替えたりできます。 何よりも、ローコードですばやく作れるというのが魅力的です。 ローコードプラットフォームには、ドラッグアンドドロップ方式の視覚的なツールが備わっていますが、これはデベロッパーが手作業でコーディングをしなくて済むというだけではありません。 これは、経理担当者が請求書管理アプリを作ったり、人事担当者が入社手続きワークフローを作ったりするなど、IT専門外の人々つまりシチズンデベロッパーが独自のアプリを開発し、ワークフローを自動化できることを意味しています。

ローコードのおかげで、コーディング革命(あるいはノーコーディング革命)が起きつつあります。 ガートナーは、2024年までにIT系の製品やサービスの80%(英語版)がIT以外のプロフェッショナルによって開発されるようになると予測しています。 これは、過重な負担を強いられているITチームにとっては朗報です。もっと複雑で緊急性の高い仕事に集中することができるようになるからです。 ただし、将来的にシチズンデベロッパーが操縦士となりシステムを離陸させるためには、IT部門が副操縦士の席に座り、プロダクトの実行可能性と拡張性を確保するために必要なガバナンスとセキュリティーを提供する必要があります。 これらの重要で新しいIT部門の役割は、将来この新しいモデルで構築されるすべてのアプリケーションにおいても重要です。

ガートナーは、2024年までにIT系の製品やサービスの80%がIT以外のプロフェッショナルによって開発されるようになると予測しています。

面倒なことに思えるかもしれませんが、そこには大きなメリットが隠されています。 このパートナーシップは、IT部門の未来の仕事を再構築するための最良の方法であり、技術者は重要なビジネス目標を達成し、イノベーションを推進するための真のパートナーとなることができます。

新型コロナウイルスの感染拡大により、デジタルトランスフォーメーション、そしてデジタル製品やサービスは、一夜にして需要が急上昇しました。 ソフトウェアやアプリのニーズが急増したのと同時に、ITスキルを持った人材も不足するようになりました。

Internalの調査によると、CIOの5人に1人が、パンデミックによって深刻なデベロッパー不足(英語版)に陥ったと回答しています。 また、IT業界の人手不足は15年ぶりの高水準となり、69%の企業がIT人材の確保に苦労しています。

このような状況では、ほとんどのITチームが、急増する需要に対応するのに苦労しているのも不思議ではありません。 ソフトウェアプロジェクトの3分の2は慢性的に遅れ気味(英語版)で、62%の企業がITチケットのバックログが増加し続けていると報告しています。

現実には、ITプロフェッショナルはレガシー業務のサポートや火消しに多くの時間を費やしており、技術的な負債が増大しています。 納期に急いで間に合わせたり、「最優先事項」が競合したりするなど、もぐら叩きのような状況において、能動的ではなく、受動的な対応を余儀なくされています。 金融サービス業界のあるPegaパートナーによると、IT予算の95%が「事業を維持する」ためだけに費やされています。その結果、イノベーションのための予算はわずか5%しか残りません。

「このような状況では、ほとんどのITチームが、急増する需要に対応するのに苦労しているのも不思議ではありません」


ITは表裏一体

ローコードツールがすぐに入手でき、価格も手頃になってきているにもかかわらず(ガートナーの期待が大きいことは言うまでもありませんが)、シチズンデベロッパーのトレンドはまだ初期の段階です。

なぜでしょうか。 TechRepublicの調査によると、ローコードを採用している企業は全体の半分にも満たないということです。 「The State of Low Code 2021(2021年度ローコードの現状)」レポートによると、圧倒的多数の経営者はローコードの潜在的なメリットを認識しているものの、60%が組織にローコードを導入するための経験が不足していると回答しています。

ローコードの導入は黎明期にありますが、近年、特にプロフェッショナルなIT業界で大きな広がりを見せています。 現在、ソフトウェア、アプリ、ワークフローの開発において、シチズンデベロッパーの占める割合はわずか6%ですが、ビジネスユーザーの間でローコードの普及率は急速に高まっています。 IT部門の外でアプリケーションを簡単に開発できるようになることは非常に望ましいこととはいえ、ビジネス部門がIT部門と連携しない場合、一転してリスクが生じます。

ローコードツールの活用に熟達しているIT部門は、案内役として最適ですが、それだけでなく、シチズンデベロッパーが開発したアプリやインテリジェントワークフローを監督して、再利用性、相互運用性、拡張性が確保されているかを確認することもできます。 また、製品を開発したシチズンデベロッパーが退職した場合に所有権を引き継げるようにしたり、アプリケーションの複雑性や重要性が高まった場合にIT部門に「進級」させる経路を確保したりもできます。

このような開発分野の民主化に向けたシフトにIT部門が適応するためには、必然的に文化的な調整が必要になります。 IT部門はやり残した仕事を減らそうと躍起になっていますが、セキュリティー、コンプライアンス、メンテナンスを犠牲にする準備はできていません。

ただ、シチズンデベロップメントのメリットが明らかになるにつれ、ITリーダーの意識も変わってきています。 ある調査によると、ITプロフェッショナルの92%は、適切なトレーニングと監督を受けたIT以外のビジネスユーザーがアプリやソフトウェアを開発することに抵抗がなくなってきています。 シチズン開発に安心感が生まれているのは、シチズンデベロッパーに権限を与えたプラットフォームを、セキュリティーやその他のベストプラクティスを適用してリスクを減らすためにも利用できるからです。

ローコードによるアプリケーション開発の民主化は、最終的にはWin-Winの関係を築くことになるでしょう。 デジタルトランスフォーメーションが急速に進む現在、ワークフローを自動化し、将来性のあるパワフルなアプリケーションを作ることに、かつてないほどの期待が寄せられています。 ただし、このような成果を得るためには、IT部門とシチズンデベロッパーが協力して取り組まなければなりません。

そして、企業にとっての最大のメリットは、ITプロフェッショナルが新製品や新サービスの開発に専念できるようになることです。このことが組織の競争力を高め、将来の業績を向上させることにつながります。 シチズンデベロッパーには「事業を維持する」のを手伝ってもらい、IT部門は大規模で高度なプロジェクトを構築しましょう。

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