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The future of enterprise operations
David Rand
デビッド・ランド(David Rand)
著者
4分で読めます

企業における業務の未来

組織の混乱とは、オートメーション、サイバー犯罪、規制変更、環境・社会・ガバナンスに関する取り組みの推進など、業務にさまざまな支障が生じることをいいます。 本稿では、その対処方法をご紹介します。
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この2年間は、どの業界にとっても激動の時代でした。 世界的なコロナ禍、サイバー犯罪の急増、異常気象、環境災害、ロボットやオートメーションの台頭、あらゆる企業活動を阻む官僚的なコンプライアンスやデータ規制など、企業にはハリウッドのスーパーヒーロー映画の台本から抜き出したような課題が山積しています。 では、ヒーローならどうするでしょうか。

ロンドンに本社を置く世界最大級の保険会社QBE European Operationsのオペレーショナルエクセレンス責任者であるアミット・ディキシット(Amit Dixit)氏は、常に顧客中心の姿勢を崩しません。 ディキシット氏は次のように語ります。「我々にとって成功の鍵は、顧客とビジネスのニーズに合った適切なテクノロジーを開発すること、また、人とテクノロジーが互いに協力し合い、顧客にとって最善の結果をもたらすよう徹底することです」

QBEは、混乱が発生しても業務のレジリエンスを維持できるようにするため、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)を利用して、1週間に推定3万件の給付金請求業務を自動化しました。 人材確保が困難な中、この自動化により、同社は年間約5万時間(正社員25人分)を削減できました。従業員はその時間をより価値の高い業務に振り向けられるようになり、将来に向けてより敏捷性の高い組織を構築することが可能になりました。

この自動化により、同社は1年間で約5万時間(正社員25人分)を削減でき、従業員はその時間をより価値の高い業務に振り向けられるようになりました。

大規模な混乱に直面した際のレジリエンスを高めることは、現在、業務責任者の大多数にとって最重要課題となっています。 これは、Pegaが金融サービス、保険、ヘルスケア、製造、公共部門、ライフサイエンス、通信など、さまざまな業界のリーダー750人を対象に行った、2022年「業務の未来」調査の結果によるものです。 今後3~5年の間に、各業界では、オートメーションの発展、サイバー犯罪、環境の持続可能性、行政による規制遵守(GRC)などの圧力による影響が続くため、調査回答者のほとんどは前途多難だと予想しています。

「私は、どの業界の最高執行責任者も、次に何が起こるかを恐れながらも、その時に備えたいと考えているのだと感じています」Pegaのドン・シャーマン(Don Schuerman)CTOは語ります。 コロナ禍は氷山の一角に過ぎません。 ほとんどの経営者は、この先、もっとコストのかかる財務上の問題が待ち構えている可能性があるとわかっているのです」

McKinseyは、現在、企業では1か月以上にわたる混乱が3.7年ごとに発生していると報告しています。 こうした問題が10年以上続くと、年間利益の約45%に相当する損失が発生する可能性もあります。


実際、組織の混乱とそれに伴うコストは、より頻繁に生じ、より費用のかかる懸念材料になりつつあります。 McKinseyは、現在、企業では1か月以上にわたる混乱が3.7年ごとに発生していると報告しています。 こうした問題が10年以上続くと、1年間の利益の約45%に相当する損失が発生する可能性もあります。

たとえば、自動化テクノロジーは、組織が対処すべき主な混乱要因の1つだと考えられています。 回答者は、人工知能(AI)や機械学習(ML)などのテクノロジーが普及するにつれて、総合職は消えていくと考えています。 その代わり、より専門性が高く技術的なスキルを要する職種が出現すると予測しています。 同時に、AIやMLによって業務部門が縮小され、他部門に統合される可能性もあると予測しています。

また、サイバー犯罪も大きな混乱をもたらす要因です。 Check Point Researchによると、2021年、企業ネットワークに対するサイバー攻撃は前年比で50%増と急増しました。 Pegaの調査で、回答者の大半(59%)がサイバー犯罪と不正行為を最重要課題としており、43%が今後の業務モデルにおける最優先事項であると回答しているのは無理もありません。 

環境の持続可能性と企業責任も混乱をもたらす要因の上位に挙がっており、全世界で68%の回答者が関心を持っています。 調査では、投資家、株主、従業員、規制当局、さらには一般市民が、企業組織に対して、こうした問題に対処するよう圧力を強める可能性が指摘されています。

Pegaの調査によると、法規制の変化は一部の業界で大きな負担となっており、保険業界と金融サービス業界でその傾向が最も強くなっています。 全体として、回答者の64%は、今後数年間はコーポレートガバナンスの強化が求められることが業務の大きな負担になると予測しています。

Pegaの調査では、こうした混乱をもたらす要因を克服するためにまったく新しいビジネスモデルを取り入れることになると回答者は予測しています。 たとえば、組織は、その場しのぎのツールやテクノロジー、プロセスに頼るのではなく、プラットフォームやその他の拡張性の高いソリューションにますます注目するようになるでしょう。こうしたソリューションによって、組織を簡素化し、継続的、長期的、全社的なレジリエンスを確保することができます。

Pegaの調査によると、今後3~5年の間に、こうした組織的な準備は経営陣だけが行うものではなくなります。 その代わり、複数の部門が企業のレジリエンスに責任を持つようになり、サイバーセキュリティのベストプラクティス、持続可能性と多様性に対するコミットメント、GRCへの準拠を支援するようになります。

調査によれば、それに伴い、業務チームの構成も大きく変化することが予想されます。 たとえば、AIやMLが定型業務や手作業が多い仕事を引き受けていく中で、51%の回答者が、将来の業務責任者にはより専門的なスキルが必要になると回答しています(参照:TKページ「スペシャリストの登場」)。 同様に、42%が、AI、ML、RPAなどの重要なテクノロジーや、ビジネスインテリジェンス、アナリティクスを活用するには、責任者がそうしたテクノロジーへの理解を深める必要があると回答しています。

また、業務部門のあり方も根本的に変わると回答しています。 多くは廃止される可能性すらあります。 組織全体でレジリエンスに対するニーズが高まる中で、回答者の61%が、業務、IT、ビジネス戦略の連携がさらに進むと予測しており、28%が部門の統廃合を考えています。 そうなれば、デジタルテクノロジーによって組織や部門のデータにアクセスできるようになるため、回答者の約20%が、業務関連の意思決定を業務部門以外のリーダーが行うようになると予測しています。

Pegaの調査に参加した金融サービス業界の業務担当ディレクターは、次のように語っています。「組織構造に関しては、デジタルトランスフォーメーションによって距離感が縮まりました。 『見える化』が進んで、 全員が緊密に連携するようになりました」

こうした協力体制には、顧客体験を差別化する組織的な取り組みが大きく関わってくるでしょう。 自動化テクノロジーがその一助となることは間違いありません。 しかし回答者は、組織がこうした取り組みにおいてAIやMLを重視し過ぎないよう、牽制もしています。 その代わり、テクノロジーと人の関わりをハイブリッドに利用してバランスをとることを推奨しています。
 

実際、Pegaの調査の回答者は、企業が最先端のテクノロジーよりも人材を重視することで、差別化を図る機会を得ていると考えています。 これは大きな転換点でしょう。 ここ数年、多くの企業はAIやMLといったテクノロジーを絶賛し、導入すれば憚ることなくそれをアピールしています。 しかし、回答者は、オートメーションは人の手に代わるものではなく、補完すべきものだと回答しています。

Pegaの調査に参加したある医療系企業のCOOは次のように語ります。「業務部門は、人間の関わりをゼロにする方向に進むべきなのでしょうか。 医療に関しては、答えは間違いなくノーです。とはいえ、従来の医療プロセスの50%以上はデジタル化可能であり、そこで人の関わりは必要がないでしょう」

また、業務上のレジリエンスは、コロナ禍の影響を強く受けたメーカーやサプライチェーンにも普及させる必要があります。 ここ数年、商品の安定生産はおろか、納品すらままならず、メーカーは、即時の需要に対応するために商品を生産するリーン生産方式やジャストインタイム生産方式をほとんど放棄してしまいました。 しかしながら、調査回答者の54%は、潜在的な混乱を回避するために、サプライチェーンとロジスティクス業務に自動化テクノロジーの活用を検討していると回答しています。

シャーマンCTOは、次のように語ります。「混乱に対するレジリエンスは、あらゆる業界の経営陣にとってキャッチフレーズになりつつあります。 世界的なコロナ禍がビジネス界に与えた教訓があるとすれば、『想定外の事象は必ず起こるのだから、そのことを想定しなければならない』ということです。 経営者と業務リーダーは、複雑性を解消するために必要であれば何でも実行し、かつ未知の事象に対して常に警戒を続ける必要があるのです」

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