

多くの企業のITリーダーにとって「列車を時間通りに走らせる」という格言は、効率化への取り組みを宣言する言い回しに過ぎません。 ただし、ダーク・ボーニングコルテリエ氏(Dirk Böning-Corterier)にとって、これは文字通りの「列車」を意味しています。
彼自身が懐中時計を持って時刻表通りの運行を監督しているわけではありませんが、欧州の最大手鉄道会社、ドイツ鉄道株式会社(Deutsche Bahn AG)が、約780万人の乗客と100万トンの貨物(同社の最新の数字による)を輸送するためのデジタルワークフローを構築することに貢献しています。

写真クレジット(左上から右下):DB AG / Georg Wagner、DB AG / Barteld Redaktion & Verlag、DB AG / Oliver Lang、DB AG / Volker Emersleben、DB AG / Timo Volz
「約32万人の従業員がいる中で何千ものワークフローが存在し、すべてが毎日スムーズに実行されなければならないことは想像に難くないでしょう」とボーニングコルテリエ氏は言います。
ドイツ鉄道のデジタルパートナー、DB Systelのワークフローおよびケースマネジメント責任者のボーニングコルテリエ氏は、プロセスを支援する目的で、DBとその数百の子会社の中にシチズンデベロッパーのコミュニティを設立しました。 システムには、旅客サービスや貨物サービス、鉄道インフラなどが含まれています。 テクノロジーに強いDB担当のシチズンデベロッパーは、インテリジェントオートメーションとローコードツールを駆使してソフトウェアを構築し、反復的に実行することで、発注から契約管理まで独自のワークフローソリューションを開発できました。
その結果、ボーニングコルテリエ氏のコミュニティは、チームの支援を受けて自動化をスピードアップし、プロセスのリードタイムを半分に短縮しました。また、プロセスの関係者の満足度を倍増させ、透明性も向上させました。 DB Systelでは、ビジネスリーダーがワークフローの自動化を新たに依頼した場合、反復性の高いアジャイルなプロセスをいつでも提案できるようになっています。
たとえば、DBビジネスユーザーがワークフローのデジタル化を求め、そのニーズに関連するデータを提出すると、DB Systelのチームは初期のプロトタイプを開発し、それを共有します。 「プロトタイプを早期に提供することで、ビジネスユーザーが求めている仕様を反映しているかどうか、あるいは仕様が不正確で不完全なものかどうかを確認できます」とボーニングコルテリエ氏は説明します。 そうすることで、誤解があれば早い段階で軌道修正することが可能になります。 また、DB Systelのチームは適切なワークフローソリューションを開発し、ビジネスユーザーがまさに希望し必要としているエクスペリエンスを簡単に提供できるようになります。
これを実現するために、ボーニングコルテリエ氏は、ビジネスユーザーに「プロセスを軸に考える」ことを勧めています。データフィールドやソフトウェアアプリケーションでは、多くの情報を表示することはできても、直感的な方法でプロセスの変更に結びつけることはできないからです。 「データベースではなく、プロセスを中心としたソリューションを構築しなければなりません。 これは簡単なことのように聞こえますが、ユーザーにとっては本当に難しいことなのです」とボーニングコルテリエ氏は言います。
それを支援するために、彼のチームは、すばやく簡単に使えるローコードツールを活用し、毎週または隔週で、ビジネスユーザーが体験できるハンズオンイテレーションを実施しています。 そうすることで、ユーザーは、何ができるのかをすぐに理解できます。 また、自分自身の「プロセスで考える」スキルを向上させることができます。 その結果、ユーザーが、より良いパートナーとなり、ソリューションの導入に貢献してくれるようになります。 「多くの場合、元の要件は再設計されることになります」とボーニングコルテリエ氏は言います。
これらのプロセスの根底には、アジャイルマニフェストの12の原則があります。 その1つは、「事業部門とデベロッパーは、共通の目標に向かって足並みを揃えて前進し、自己管理すべきである」という考えです。 「ビジネスの成功が、すべてのチームメンバーにとっての主な原動力になります。 基本となる考え方は自己管理です。 私たちはすべてのチームメンバーを信頼し、自由に行動できるようにしています」とボーニングコルテリエ氏は言います。
ドイツ国内に約5,400人の従業員を擁するDB Systelでは、クラウド移行、データ分析、人工知能をベースとしたカスタムメイドのアプリケーションやプロセスを開発しています。 DB Systelは、DBの契約・調達ワークフローのデジタル化に加えて、外部サプライヤーへのクレームの記録・処理、エンジニアリング検査、バス運転手の乗降などのデジタル化にも貢献しています(DBは毎年13億6700万人の乗客にバスサービスを提供しています)。 いくつかのケースマネジメントプロジェクトも進行中です。

「ダイナミックな開発を可能にする重要な要素は、最新式で柔軟なIT、そしてアジャイルで独立したチームがアクティブに運用できる作業環境です」
「ダイナミックな開発を可能にする重要な要素は、最新式で柔軟なIT、そしてアジャイルで独立したチームがアクティブに運用できる作業環境です。 私たちを取り巻く環境は従来の仕事や組織の構造から、自己管理型のエンタープライズ規模のネットワークへと大きく変化しています。 私たちの目標は、柔軟な働き方とアジャイル手法を駆使して、DBパートナーと変更の多い要件に対応していくことです」とボーニングコルテリエ氏は言います。
つまり、DBは、「電車を時間通りに走らせる」プロジェクトに貢献しているのです。 また、すべての関係者を旅の友(ジャーニーのパートナー)として協力しています。